就活に失敗したオタク

就活にしっぱいして無職のオタクの戯言です。

知識をつけることは耳かきをすることに似ている 序文

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 なぜあれほどまでに人は耳かきを好むのだろうか。そもそも人は耳かきをしなくても耳 垢が奥にたまらないような人体の構造をしているらしい。一定量の耳垢がたまると外へ外へと押し出すような仕組みが僕たちの耳には備わっているのである。

 

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 僕は耳かきを生まれてから自分で行ったことが一度もない。なぜならばあまりにも敏感なためスティックの先がほんのすこしでも壁面をこすると身もだえしてしまうからだ。幼 少期の頃からできるだけ耳かきからは遠ざかって生きてきた。しかし母が時期を見計らって僕の腕をしっかりと握りしめ身動きが取れないように床に押さえつけてから、そろりそ ろりと耳の穴に忌々しいあの棒を挿入してきた。その後、僕も一人前とは言えないにしろ、ある程度自立性を問われるような年齢になったとき、母は耳かきを強要することをやめた。 「あなたの好きなようにしなさい」ということになったのである。それ以降僕は一度たりとも耳かきをしていない。

 

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 耳かきをするのは苦手だが、人が耳かきをされているのを遠くから鑑賞するのは好きだ。 彼らが非常に気持ちよさそうに木製の棒を器用に動かしているからではない。僕は彼らの 耳から大小、乾燥しているか湿っているか関係なく耳垢が取り出される瞬間を目撃するのが心地よかったのである。

 

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 僕はこの経験からこのような仮説を立てた。耳かきが人を魅了する理由は二つ考えられる。一つは敏感な部位を刺激することで身体的な快感をえることができるから。二つ目は障害となる耳垢を取り出すことによって耳の中の空間が広く清潔になることに対して快感をえるからである。そして、どうやら普遍的に人を耳かきというニッチな行為に結び付けているのは二つ目の要素が大きい。と僕は考える。もちろん科学的な証拠もない上に、実際に検証する時間も忍耐力もないので明らかに正しいとはいえそうもない。ただし、僕はどうやら確からしいぞという確信を持っているのである。