就活に失敗したオタク

就活にしっぱいして無職のオタクの戯言です。

ようやく雨が降り始めた。

雨が降り出したのを窓からかおる土のにおいで初めて知った。

ここのところ、一週間近く快晴が続いており、太陽が精力的に活動をしているのにも関わらず、その評判は芳しくなかった。彼の活動は学校の経済力がいかに貧相かを明らかにしたし、地方のインフラが不完全であることを明らかにした。

きっと彼はずいぶん頑張ったに違いない。台風8号の「クリスティーン」に長い間、役目を奪われ憂き目にあったことは容易に想像できる。

彼の父親は、慢性的なアルコールの摂取が災いして肝硬変を患い、295歳という若さで亡くなった。まだ、地上を照らす実力を十分に身につけていなかった彼は、ひどく狼狽したし、はたして自分が父の代わりを務めることができるのかと自分を責めることを何度も繰り返した。しかし、地上では100年に一回といわれる大規模な冷害がおこっており、人々に甚大な被害をあたえていた。定期的に地方から農作物を徴収し、何連も連なる倉に貯蓄を行っていた都市部の人々や、一部の先見の明がある優秀な人物がおさめる村をのぞいて多くの人々が慢性的な食糧不足に直面していた。その惨状を目の当たりにして、彼は地上を照らす役割を担うことを決意した。植物や人々にエネルギーを与え、豊かに成長をうながすのは彼にしかできないことだった。

彼が地球上に光と熱を投射しはじめてからすでに200年異常が経過した。その仕事ぶりは板につき、「イケナイ太陽」と呼ばれた往年の彼の父を彷彿とさせた。

彼の活躍をこう記している間に、きっとかれはネクタイの結び目を緩めているに違いない。すでに眠りについた息子の頬に軽くキスをし、シャワーを浴びる準備を整えているはずだ。もう、彼の父の怠惰な姿はどこにもなかった。

身体に浴びたわけでもないのに、屋根をたたく雨の音で太陽が休もうとしていることがわかりました。彼にもプライドがあるだろうし、今日はそっとしておいてやりましょう。