就活に失敗したオタク

就活にしっぱいして無職のオタクの戯言です。

就活日記 その4 大学は誰にも声をかけたりはしない

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 僕はかなり苦労して旧帝大というネームバリューだけは一丁前の大学に入り、それを遺憾なく発揮することなく卒業することになりそうだ。他大学の友達に来年から無職になることを告げると「え、あの大学に入ってなんで就活を失敗するんですか」とか「わざわざあの大学に入ったのにもったいないですよ」と間髪を入れずに返してくる。または、あまりに解せないために口をきっと横に結んで黙り込んでしまう。僕はその姿を観るたびに、「あ、ごめんなさい。特別な理由なんてないんです。」と申し訳なさでいっぱいになる。そんなことを考えているよりバイト後に夕食を何にするか考えたほうがよっぽど生産性があるからだ。

 

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 大学は一般的な想像よりも個々の学生に自由が与えられている。大学では専門的な学問を学ぶ場所だというイメージは間違ってはいないが、大学とはなにかという答えとしてはかなり不十分である。ディズニーランドはどんな施設かと聞かれたときにミッキーマウスがいる場所だと答えているようなものだ。ディズニーランドには間違いなくミッキーマウスがいるが、それに加えて、各ディズニーキャラクターがテーマのアトラクションンがあるし、パレードがおこなわれるし、ルームなんたらという高級クラブがあったりする。大学は同じ様にとっても多面的な施設で、在学する学生も同じように多様なのである。学問に打ち込むことものもいれば、部活動に追われているものもいれば、知らない間に起業して大金持ちになっているものもいる。大学は「おいおい君はもうちょっとまともな彼女を選びなよ」とか「君はどうやら地学を学ぶのがよさそうだぜ」とか声をかけることはない。つまり僕に対しても「まて、君は就職せずに卒業するつもりかい。まずいよ、今のご時世23歳無職の男性を誰が好きになるんだい」なんてバーでジンリッキーを飲みながら忠告をしてくれるわけではないのだ。僕は大学に入ったものの権利として、自ら無職を選んだのである。

 

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どうやら両親や親せきは就職に関して安泰だろうと高をくくっていた。なぜなら一丁前にネームバリューだけは持った大学に息子を通わせていたからだ。僕は大学1年生の終わりまで実家に住み、そこから1時間半かけて毎日大学に通っていた。しかし、一人暮らしをしている大学生に特有の自堕落な生活にとても憧れていた。西村賢太太宰治のような女を連れ込んでは毎日酒を浴びるように飲み、お金が足りなくなったら日雇いの仕事で食いつないだり女に養ってもらったり、実家に頭を下げてお金を工面してもらったりしながら、細々と生活を送る姿が自分にはまぶしかった。(実際に僕は母親にお金がないのだと泣き言をはいて金を工面してもらったり、女とのもめ事で迷惑をかけたりした。本当に申し訳ないと思っている。機会があればまとまった文章にする予定です)僕は反対する両親の意見をろくに聞かずに、ニッショーに物件を選びに行き、大家さんと話をつけて勝手に家を出て行ってしまった。母親の言葉を借りると「箱入り息子が箱を突き破って出て行った」のである。なんだかゴミ袋に沸いたコバエみたいで気分はよくないけれど。